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おすすめBOOKS

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デザインが日本を変える
デザインが日本を変える 前田育男 光文社新書 800円
 マツダのデザイン本部長によるデザイン論、ブランド論、マツダ再生ストーリー。私はマツダを「Designed Corporation」の成功例だと考えているので、常にウォッチしているのだが、そのマツダデザインを支える張本人が本を出したとなれば読まないわけにはいかない。
 マツダのクルマのデザインが良くなったことは誰しも感じることだろうし、実際に多くのデザイン賞も受賞しているからプロも認めるデザイン力であることは間違いない。そのマツダデザイン、「魂動デザイン」がどうやって生まれたか、本書に書かれたそのプロセスは多くの企業で参考になるだろう。デザインは限界費用ゼロの商品力アップ要因だ。このデザインというものをどう自社の経営や商品づくりに取り込むかを考えてみるのに、マツダはとても良い事例である。
 但し、本書でも触れられているが、これからクルマは自動運転になり、シェアされて行くようになる。そうなればマツダのデザインが良いか悪いかという要因はどうでも良くなる。その時マツダは生き残れないと私は考えているが、トヨタですら危機感を露わにする業界激変の時代にマツダがどういう道を進むのか、そこにも大変興味がある。以前は、水素ロータリーエンジンで世界に唯一無二の会社になれ!!と思っていたが、自動運転になったらその線はない。ちなみに、マツダは私の地元広島が誇る3兆円企業である。トヨタと比べて小さいだけで、かなり大きな会社だ。その誇るべきDesigned Corporationの行く末について考えてみたくなる一冊。新書で読みやすい。

AIに振り回される社長 したたかに使う社長
AIに振り回される社長 したたかに使う社長  長尾一洋 日経BP社 1600円
 AIやIoTなど最新のテクノロジーを企業経営に活かすヒントが詰まった一冊。AIの解説本は数多あるが、それをどう経営に活かすかという視点の本は少ない。本書はドメインシフトとフィードフォワードという切り口で、テクノロジーを活用したこれからの企業経営のあり方を明示している。
 せっかくの最新テクノロジーも、事後に過去を振り返る「フィードバック」に使っていては大して役に立たない。AIやIoTはもちろんIT活用においても、未来を変えるために事前に手を打つ「フィードフォワード」が重要となる。本書では、そのためのフレームワークとして「PSDSサイクル」「TARPサイクル」「先知先考管理」なども紹介している。
 著者は、孫子兵法家、長尾一洋。そう、私だ。実はフィードフォワードは孫子の教えでもある。最新テクノロジーの話かと思ったら、2500年前の孫子の兵法の話も出てくるので驚くかもしれないが、2500年の時を経ても評価され続ける孫子の兵法を最新のテクノロジーで実践するから、成果が生まれるのだ。まさに不易と流行。一時の流行りもののAI本だと思わないでいただきたい。
 単なるテクノロジー解説本でもないので、セコム、コマツ、QBハウス、セブンイレブンのリアル事例による経営応用も提示し、NIコンサルティング自身のビジネスモデルも開示して、ドメインシフトとフィードフォワードの有効性を証明している。おすすめというか、経営者、管理者、ビジネスパーソン必読の書。

ピーター・ティール
ピーター・ティール トーマス・ラッポルト 飛鳥新社 1574円
 シリコンバレーの大物は、みんな「この男」に学んでいる、という触れ込みの起業家・投資家、ピーター・ティールを紹介した一冊。ペイパルの創業者であり、フェイスブックへの初期投資家であり、トランプ政権の仕掛人であり、ジョブズやザッカーバーグを超える男だそうだ。本書はそもそもドイツの本であり、著者はドイツのジャーナリストだ。なぜならピーター・ティールがドイツ出身だから。1歳でアメリカに移住したそうだが、ドイツ語も操るそうだ。
 ドイツ人から見たシリコンバレー論だからか、トランプ政権にも関係した人の話だからか、よくある起業家本、ベンチャー本とは違った感じの一代記である。私が政治や投資にあまり興味がないからかもしれないが、後半はなんだかテンションが下がった。
 だが、第5章の「逆張り思考」について読むだけでも価値があると思うので、おすすめする。特に「スタートアップの10ルール」は是非読んで欲しい。起業家、企業家にとって大切なことが書いてある。

アマゾンのすごいルール
アマゾンのすごいルール 佐藤将之 宝島社 1800円
 2000年のアマゾン・ジャパン立ち上げ期から2016年までアマゾンで働いていた著者によるアマゾン流経営本。人材採用や業務の進め方、評価方法など内部にいたからこそ分かる内容を教えてくれて、それはそれで興味深いが、やはりそれはアマゾンだからこそ出来ることであって、そもそもアマゾンをアマゾンたらしめている基本理念やビジネスモデルを学ぶべきだろう。
 アマゾンはWEBの特性を合理的に活用し、そのメリットを最大化すべく成長スピードを追求している会社だと思うのだが、それがなぜ実現出来ているのか、なぜ他のネット企業はアマゾンほど徹底できないのかといったことは一般企業の経営でも参考になるはずだ。
 アマゾン・エフェクトのように競合企業や業界そのものを消滅させる脅威として語られることの多いアマゾンだけに敵も批判も多いだろうが、これからの時代を生き抜くヒントを与えてくれる会社であることは間違いない。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
AI vs. 教科書が読めない子どもたち 新井紀子 東洋経済新報社 1500円
 東大合格を目指すAI「東ロボくん」を開発する数学者によるAI論。人間を完全に代替したり、人類を滅ぼすようなAIは存在しないが、MARCHや関関同立レベルの私大には合格できるレベルにはなっていて、それによって仕事を奪われる人も生まれると言う。そういう事態になれば、人間はAIには出来ない仕事をすれば良いではないかと一般には言われているが、AIが不得意な読解が出来ない人間がかなりいると指摘する。
 前半のAI限界説は「東ロボくん」の実体験を踏まえた話で納得感がある。弊社でもAI秘書の話をしていると、いきなり何でもできてしまって人がいらなくなるAIを期待されて困ることが少なくない。問題は後半の、学校の教科書を読んで意味が理解できない層が結構いるという現実だ。要するに、AIレベルのことしかできない人間であれば、AIには出来ない仕事をその人も出来ないということ。著者はそこに危機感を持っているそうだ。
 膨大な量のデータを処理したり、同じことをひたすら繰り返すようなことは、すでにAIの方が余程優れているわけだから、小学校レベルの教育から考え直していかなければならないのは間違いないだろう。AIの活用を考える企業や経営者は読んでおくべき一冊。

田明と読む世阿弥
田明と読む世阿弥 田 明 日経BP社 1400円
 あのジャパネットの田元社長が自らの話術の奥義を能の世界に照らして解説した本。「風姿花伝」や「花鏡」で知られる世阿弥がその芸を伝承しようとしたのと田氏自身がジャパネットの経営ならびにテレビショッピングのMCを伝承しようとするのがちょうど重なり合ったようだ。日経トップリーダーに連載されていたものに加筆されて書籍化されている。
 能や狂言の世界はよく分からないが、テレビショッピングのトークを極めようとする田氏の姿勢は参考になる。売れたのだからいいではないかという妥協はしないそうだ。私もセミナーや研修など人前で話す仕事なので、何か改善するべき点はないかと毎度振り返るようにはしているのだが、「初心忘るべからず」を改めて胸に刻みたいと思う。芸を極めようとする人にはおすすめの一冊。

トヨタ物語
トヨタ物語 野地秩嘉 日経BP社 2300円
 7年間、70回に及ぶ工場見学、現場インタビューを行ったノンフィクション作家によるトヨタ論。「日経ビジネス」に連載されたものを加筆修正したものだそうだ。連載を読んだ人は読まなくてもいいかもしれないが、それ以外のビジネスマン、企業経営者は必読。400ページある大部だが、読むべきだろう。自分の苦労、自社の悩みが如何に大したことないか、思い知ることができる。
 さすが、世界一になる会社は違う。トヨタ生産方式が確立されるまでのエピソードも満載。多くの人が「かんばん」や「アンドン」の本質を誤解していると言う。ヘタなトヨタのノウハウ本を読むよりも本書の方が勉強になるのではないか。著者はコンサルタントに対して否定的なようで、コンサルタントの一人として「一緒にするなよ」と言いたいところもあるが、コンサルタントにとっても参考になる点が多い本だと思う。
 私は、トヨタならびに自動車業界が衰退もしくは消滅しかねないと思っているのだが、本書を読んで少し考えが変わった。自動車業界がなくなったら、自動織機から自動車にシフトしたように、自動車からまた他の何かにシフトして、トヨタという会社は生き残るかもしれないなと思う。
 エピローグで取り上げられた米国の公聴会の話で泣いた。「チームメンバー」は最高だ。その意味が知りたい人は是非本書を読もう。

誰もが嘘をついている
誰もが嘘をついている セス・スティーブンズ=ダヴィドウィッツ 光文社 1800円
 元グーグルのデータサイエンティストが書いたビッグデータ解析の可能性と限界について述べた一冊。グーグル検索のデータによって人間の本音、本性が見えてくると言う。副題は「ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性」。人は、Facebookには見栄を張った綺麗事を書くが、グーグルの検索には真情を吐露すると指摘する。そこには差別や暴力、性や偏見など、普段表には出て来ない真実が隠されているそうだ。それを浮き上がらせるのがデータサイエンティストであると。
 ここには書けない、書きたくない真実がいくつも例示されていて、本書を読むことでネット検索するのが怖くなるだろう。個人を特定してはいないとは思うが、IT巨人はすべてお見通し・・・。グーグルも怖いがアマゾンも怖いな。何を買ったか、何を見たか、名前と住所とカード番号もセットでバレている。著者は「グーグル検索こそ、人間心理についてこれまで収集された最も重要なデータセットだと確信している」と断言している。
 ビッグデータの力を知り、それで何ができるか、それをどう活かすかを考える本であり、人間の本音を垣間見る一冊でもある。

シャーデンフロイデ
シャーデンフロイデ 中野信子 幻冬舎新書 760円
 読んであまり気分の良い本ではない。シャーデンフロイデとは、他人を引きずり下ろす快感のこと。「サイコパス」「脳内麻薬」などの著作で知られ、テレビなどにもよく登場する脳科学者による、人間とは何か、人間性とは何か、正義や愛とは何なのかを問う一冊。
 正義感や愛によって、人は人を攻撃し、良かれと思ってバッシングして、快感を得る。その正体が、脳内ホルモンの「オキシトシン」なのだそうだ。幸せホルモンとも呼ばれるものなのに、妬みの素ともなり、それによって他者を攻撃したり、他人の失敗や破滅を喜ぶという。
 脳科学者が淡々と脳内ホルモンの働きについて解説しているもので、ページ数も多くなく、気軽に読める本ではあるが、人間不信になりかねない本でもある。だが、人間理解のためには参考になるわけで、悲しい現実ではあるが、本書の内容を踏まえて生きて行くしかないのだろう。

なぜ戦略の落とし穴にはまるのか
なぜ戦略の落とし穴にはまるのか 伊丹敬之 日本経済新聞出版社 1700円
 「経営戦略の論理」で有名な伊丹先生の最新刊。戦略を考える上での落とし穴と戦略内容の落とし穴について、分かりやすく解説。日本の戦略論をリードしてきた先生だけに多くの企業の指導もして来られたのだろう。「そうそう」「あるある」とうなづく指摘が満載。企業経営者ならびに戦略立案スタッフなどは是非読んでみるといいだろう。
 伊丹先生は、「孫子に経営を読む」という孫子本も書かれていて、孫子の兵法が企業経営にも応用できることを示してくれているので、孫子兵法家としては余計にうなづける点が多い。本書にも孫子兵法の引用が結構出てくる。
 企業経営も兵法も、やはり「兵とは詭道なり」で、戦い方に正解がなく、正と奇の連関であり、手の内が他人から見てすぐに分かるようではダメなわけで、大学の講義や書籍で「正解」を伝えるのは難しいだろうなと思う。
 本書もこれが「正解」だと鵜呑みにせずに、参考程度にして独自戦略を打ち立てるくらいの気持ちで読んで欲しいが、本書で指摘されているようなことが、そもそも出来ていない企業が多いので、失敗を避けるだけでも役に立つだろう。良著。

西郷の首
西郷の首 伊東 潤 角川書店 1800円
 昨年紹介した「武士の碑」に続いて、大河ドラマ「西郷どん」の予習のために読んでおきたい一冊をおすすめする。「武士の碑」と同じ伊東潤氏の著作である。「武士の碑」は薩摩藩士の眼から西郷を見たものだが、「西郷の首」は加賀藩士が主人公。実は、西郷の首を発見した男と大久保利通を暗殺した男は加賀藩士であり、親友だった・・・。幕末から明治初期の話に加賀藩が登場してくることはほとんどない。だが、「不平士族によって暗殺された」と片付けられることが多い大久保利通が暗殺された紀尾井坂の変が、旧加賀藩士によるものだとなると、そこに至るまでの加賀藩に何があったのかと気になってくる。
 西郷隆盛自身はあまり登場しないが、大河「西郷どん」を見ながら、その裏で何が起きていたのか、時代の流れをイメージするには本書で予習をしておきたい。現代から見ると明治維新は江戸城の無血開城に象徴されるように平和裏に事が進んだように思われるが、現実はそう簡単ではなく、時代の変化は多くの人に苦汁を舐めさせたのだろう。大河ドラマが幕末・維新に進むのは年後半だろうから、それまでに読んでおきたい一冊。

 

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